人工ライブロックの作り方

ライブロック

現在、市場で流通している人工ライブロックは、主に3つの製法で区別されます。樹脂成形(FRP)、セラミック焼成、セメント成形です。それぞれに特徴と利点があります。

 人工ライブロックは、海洋環境に負荷をかけず、リーフアクアリウムにおけるライブロック需要を満たすエコ・フレンドリーな商品です。現在、市場に流通している人工ライブロックは、主に3つの製法でつくられています[1]

樹脂製レプリカライブロック

 樹脂成形の人工ライブロックは、軽量で劣化破損がないことが特徴です。水槽に有害なカニやシャコなどの棲息が起きづらく、海水魚用の漁病薬もつかえます。バクテリア棲息による水質浄化機能はありません。また、型取り量産品のため、形状のバリエーションには限りがあります。

セラミック製人工ライブロック

 セラミック焼成の人工ライブロックは、軽量でありながら非常に強度があり、かつ多孔質のため、バクテリアの棲息による水質浄化機能に優れているのが特徴です。高温炉で焼成するため、セメント成形に比べると形状の自由度は低いものの、機能面では人工ライブロックにもっとも適した製法といえます。

セメント製人工ライブロック

 セメント成形の人工ライブロックは、セメントを主材とする無機材料で製造されたコンクリート製の擬岩です。組成は天然ライブロックに近く(結晶構造のみが異なる)、養殖工程を経て生産されたものは、水質浄化に必要なバクテリアが定着した状態で、すぐに水槽へ収容できる特徴があります。セラミック焼成のものに比べると強度や透水性は若干劣りますが、個人のDIYも可能なため、自由な形状でつくることができるのが利点です。

セメント成形による擬岩の作り方

 CORERALの人工ライブロックで採用しているセメント成形の擬岩について作り方をご説明します。

 セメント成形の人工ライブロックは、セメントを主材として、骨材と水でつくります。セメントは水を加えると化学反応(水和反応)で凝固します。このとき、砂や石などの骨材[2]を加えることで、凝固したセメントが骨材を結合させて強度が得られます。いわゆるコンクリートです。

天然ライブロックを乾燥させたもの(左)とセメント成形による擬岩(右)。成分の組成はほぼ同じで、結晶構造のみが異なります。

 

 コンクリートはもともと多孔質です。しかし、ライブロックとして機能させるためには、水質を浄化する作用を発揮するバクテリア(細菌)やアーキア(古細菌)などの微生物が棲息できるようにより多くの細孔があることが望ましいです。このため、人工ライブロックの製造時にはセメントと水を混練する際に気泡剤や溶出剤を加えます。

 気泡剤はアルミニウムの粉末で、セメントと水の水和反応時に水素を発生させて気泡による細孔をつくります。溶出剤は塩などを加え、セメントが凝固した後に溶出することで細孔をつくります。

  コンクリートの強度は、温度と湿度などの条件にもよりますが、春や秋の季節で適切な養生をおこなった場合には、約5日間ほどで最大強度の約80%に達するといわれています。

 コンクリートは、セメントの水和反応で発生する水酸化カルシウムの溶出によって非常に高いアルカリ性を示すため、そのまま水槽に入れることはできません。中和処理をおこなう必要があります。中和処理は、酸化の化学反応によってセメントの炭酸カルシウム化を促進させ、アルカリ性の水酸化カルシウム溶出量を減らすことです。添加剤には二酸化炭素や硫酸マグネシウムなどがあります。

 

 中和処理を経たセメント成形の擬岩は、この時点で成分の組成が天然ライブロックとほぼ同じになります(結晶構造のみが異なります)。陸上養殖の工程を経ることで、水質浄化機能をもつ天然ライブロック代替品となります。養殖工程は基本的にリーフアクアリウムの水槽環境と同じです。人工海水に浸漬し、擬岩の細孔に微生物が定着することを待つのです。

補注・参考文献

  1. 建材の分野では、ポーラスコンクリートの名称で知られる多孔質・軽量のコンクリート製品が存在します。人工ライブロックの製法に適用することが可能ですが、本稿執筆時点で商品化されたものは確認していません。
  2. DIYでは、セメントに混練する骨材にサンゴ砂やアラゴナイトをつかうことが多いようです。CORERALの人工ライブロックは、細骨材の砂を含め、すべて陸上由来の天然無機素材でつくっています。これは、世界的な建設需要によって逼迫している海砂に頼ることが海洋環境に負荷を与えることにつながるからです。

関連記事一覧